2025/09/16 18:57

こんにちは。豪徳寺の古本屋、皿書店です。
ソウルから直行便で台北(3泊4日)を訪れたのでその様子を振り返ります。

2/26(水)
午前4時ごろに桃園空港に着陸しました。2月のソウルは凍えるような寒さだったので、台北はとても快適です。
空港で1時間ほど仮眠をしてから、バスに乗って台北市内に入りました。台北駅のコインロッカーに荷物を預けて、朝食を食べに行きます。目的の朝ごはん屋さんは、台北駅から電車で30分ほどの場所にあります。

石牌無名手工蛋餅
お店に近づくと豆漿(ドウジャン=台湾式豆乳)のいい匂いが漂ってきます。5人くらいの行列ができていて、しかも地元らしき人ばかりなので期待がふくらみます。
メニューの台湾語がさっぱり読めないので、google map に掲載されている写真を店員さんに見せながら蘿蔔糕(ローポーガオ)と豆漿をオーダーします。

ローポーガオは表面がこんがり焼かれていて、香ばしい香りと大根の甘みが感じられます。噛まなくても崩れるくらいの柔らかさで、やさしい味です。

次にかわいらしい柄の紙コップに入れられた、あつあつの豆漿を啜ってみます。牛乳を薄めたような味で最初はあまり印象に残らないのですが、温度が下がるにつれて豆乳の風味や甘味が増していきます。だんだんコクも出てきて、ローポーガオとの相性もいいです。

みんな必ずオーダーしている。毎日飲める感じ


帰国した今でもふと飲みたいと思うことがあるので、東京にいい豆漿が飲めるところがあればコメントお待ちしております。

朝ごはんを食べ終わり、近くに朝市があったのでのぞいてみました。野菜、果物、魚、肉(直視できないようなものも)、惣菜、日用雑貨、衣類、靴などが所狭しと並べられていて、朝から賑わっていました。

台北駅に戻り、お昼が近づいてきたので、台湾おこわを食べに行きます。
かなり有名なお店のようで30人くらいの行列ができていますが、テイクアウト専門なので回転がよいです。定番のおこわと煮卵をメニューを指さして注文します。
紙の器に盛られていて、蓋を開けると醤油とお米のいい香りがします。

一口食べてみると、肉やしいたけの旨みがたくさん詰まったとても美味しいおこわでした。こちらも大変おすすめなので、食べてみてください。

台湾のおこわ

お昼を食べてさっさく目当ての本屋さんへ向かいます。
田園城市生活風格書店という名前の本屋さんです。

こちら、なんと青果用のコンテナを積み上げて本棚が作られています!これは店主チェンさんのアイデアで、マルシェをイメージして特注で作られたそうです。コンテナには木製の下敷きが張られていて、本の地が傷つかないようになっています。
建築の本を中心に、ZINEや作家さんのグッズもあり、店内には柔らかい空気が流れています。
日本の書籍のコーナーもありました。台湾には日本語を読んだり、日本のアートが好きな読者が一定数いるので、定期的に日本へ仕入れに行っているようです。

本棚はコンテナです


続いて向かったのは、waiting room[待合室]という名前のカルチャーショップです。ここで、同じ日程で台湾に来ていたOrnament Storeのチバちゃんと合流し、店内を見て回りました。
こちら本屋ではありませんがZINE用の棚があったり、音楽やアパレルもかなりマニアックなセレクトです。台湾カルチャーを吸収するには絶好のスポットだと思います。

ふと棚の上の方を見ると非売品の銀杏BOYZの書籍が置いてあります。きっと店主の宝物なのでしょう。台湾では日本の音楽が人気なのは知っていましたが、銀杏のようなコアなファンがいるとは思っていませんでした。

本日3件目は台湾のみならず、日本でも有名なセレクトショップ PAR STOREへ。原宿を髣髴とさせる通り沿いの地下に店舗があり、秘密基地に入るような感覚があります

ZINE、CD、アパレルなどすべて洗練されたセレクトで、ミュージシャンを招いてライブをすることもあるようです。日本の文化が好きなようで、日本の著名人が表紙になったZINEや古本もたくさん見かけます。

レジで存在感を放つジャッキー・チュン


ティーバック入りのZINEを発見し、こんな発想のZINEがあるのかと、台湾人の自由な発想に感心します。皿書店でも仕入れてみたので、ぜひ見てみてください。

チバちゃんと夜市に出て、夜ご飯を食べます。
いろんなお店があって迷いましたが、ルーローハンを食べることにしました。よくわからず注文したものは、とても小さい茶碗に入ったルーローハンです。韓国の食堂とのボリューム差に驚きましたが、前菜、ご飯もの、スープを自由に組み合わせるスタイルだったようです。肉まで細かくカットされた具材に、味噌のいい風味がします。お米は水分多めの炊き加減ですが、日本人の口によく合うと思います。

ルーローハンだけではお腹が満たせなかったので、別のお店を探してみます。

焼きそばと台湾ビール

夜ご飯を食べて、台湾のREVOLVERというライブハウスに行きました。
この日は銀杏BOYZのトリビュートライブが行われていて、2階のライブ会場は満員御礼でした。私たち以外は台湾人のお客さんですが、日本語の歌詞で大合唱がおこっていてエネルギーが凄まじいです。

二〇二五 銀杏NIGHTの垂れ幕

ステージが終わるごとに、1階に降りてビールを頼むというのがここのスタイルのようです。そのうちバーであふれた人たちが、店先で飲み始め、ギターをもって弾き語る人たちまで出てきます。

台湾の日本愛を感じられるとてもいい夜になりました。

2/27(木)

今回Airbnbで宿を手配しましたが、風変わりで面白い場所だったので少し紹介しようと思います。
或る台湾映画のロケ地として使用されたらしく、アトリエと寝室が一体となったアパートの1室です。
バストイレはシェアですが、まあまあ広い&安くて、調度品も個性があって、人慣れした猫が部屋を散歩するとても素敵な場所だったので、ぜひ台北を訪れた際は宿泊してみてください。

サラオ

猫と遊びすぎてしまったので、今日は遅めのスタートです。
台北駅に向かって歩く途中で何気なく買った胡椒餅が大ハマりでした。

胡椒餅。1つ1つ、目の前で包んでくれます

出来立てを提供してくれるので、食べ終わるまで熱々で、名前負けしないくらい辛めの味付けになっています。
行列ができていたタピオカミルクティーも飲んだりして、台湾を満喫します。

今日は以前から目星をつけていた本屋さんに向かいます。
荒花書店(Wild Flowers Bookstore)という、アートを中心とした本屋さんです。ポスターや絵画が広々とディスプレイされていて、台湾のアーティストだけでなく、ヨーロッパのアーティストのセレクトも楽しめます。
こちらで影響を受けたのが店頭の観葉植物です。初見では本屋さんだと気づかないくらいたくさんの植物が入口に置かれています。
日本の本屋さんでは店頭は安売りの棚を置いたり、ガラスは隠さないようにするのがセオリーかもしれません。荒花書店はそれらとは全く異なるアプローチで別世界に入り込むような感覚を与えてくれます。

荒花書店の緑に覆われた入口

台湾で散歩をしていると、植物天国だと気づきます。公園には大きな菩提樹が生えていたり、マンションのベランダや壁には植物が生い茂っています。植物に適した気候なのだと思いますが、街中にこれだけ緑が多いと穏やかな気持ちになれますね。

もう1件、台湾の独立系書店の先駆けといわれる、朋丁pon dingへ。
国海外のZINEがそろっていて、The Gourmandなど珍しい食の洋雑誌も取り扱いがありました。店員さんに聞きながら、台湾出身のアーティストのZINEをたくさん入手しました。ギャラリーやカフェも併設されているので、休憩がてら入ってみるのもいいと思います。

朋丁pon ding

2/28(金)

台北駅周辺から電車で30分ほど南下し、古本屋が集まる公館(Gongguan)という地域へ向かいました。半径300mくらいに15~20件の古本屋が点在していて、本格的に仕入れすることができます。
創業50年の老舗古書店から、無人古書店、「雅博客二手書店」のような新参の古書店まで幅広くあります。

早速仕入れをはじめると、なかなか面白い古本がでてきます。
果物を使った「むきもの」や漢方の本などは、さすが本場といったところで装丁や写真にこだわった本が多く見つかりました。中国大陸の伝統文化を取り上げた、漢聲(ハンシェン)という雑誌を知れたことも大きい収穫でした。中華民族の暮らしや、農薬問題(台湾は添加物の規制が少ないことで有名な国だった)など特集の面白さもさることながら、ページごとのレイアウトや色使いが非常に独特で、中国語を読めなくても楽しめる雑誌です。

公館(Gongguan)で食べた豆花
牛肉麺

この日は古本の仕入れをがっつり行いました。
韓国の仕入れ分も含めると手持ちの荷物が多くなって、いよいよスーツケースが重くて動かすのも一苦労です。

3/1(土)

最終日は再びOrnament Storeのチバちゃんと合流し、蚤の市(重新橋観光市集)に行きました。駅から10分くらい歩くと、高架下を埋め尽くすように出店が並んでいて、ものすごい賑わいです。そばにグラウンドもあり、日陰で体操や太極拳をしている人もいます。

蚤の市は電化製品やジュエリー、古物が所狭しと並んでいて、本は若干少なめです。たくさんの仕入れはできませんでしたが、通販の時代にわざわざ足を運んで買いものをしたり、体操する人たちを見ていると、ここは単なる買いものをする場ではなく、集いや交流の場として機能していると感じました。日本でも若い方を中心にフリマブームが訪れていて、こういった場所が人々から必要とされていると実感します。
地元民のリアルな生活が垣間見れて、新鮮な体験でした。

この日も公館で大量に仕入れをしましたが、台湾の祝日で郵便局が閉まっていることに気が付きました。ありがたいことに雅舎二手書店のチェンさんに力を貸していただき、発送までお手伝いしてもらいました。

雅舎二手書店は20年もの歴史がある街の古書店です。家族経営で奥さんが本店、息子さんが2号店の店番をしています。
ベテラン店主のチェンさんは書店業界だけでなく、中華の歴史などについても造詣が深いです。日本と同様に読書人口が減りつつある台湾の現状や、狭いスペースでの販売のアドバイスなど貴重なお話をたくさんしてくれます。

台湾では若い方の書店開業ブームが来ているようですが、長く続いている街の本屋さんにもぜひ足を運んでみてください。チェンさんのような方とお話しすることで、奥深い台湾の情報が得られると思います。

夜ご飯は福大山東蒸餃大王で豪華に水餃子と蒸し餃子を食べました。
相当な量の餃子が入っていますが、意外とあっさり食べられます。

水餃子

スープは濃い醤油の色ですがあっさりしていて、動物系の出汁がよく出ていて飲み干せます。
餃子は皮が厚めで、中までスープでひたひたになっているのがとても美味しいです。

最後の晩餐

蒸し餃子は具の肉肉しい感じがより伝わってきます。調味料で味変をしながら食べるので、飽きが来ないです。

これから日本に戻って、1カ月ほどで開店までの準備を進めていきます。
韓国と台湾の書店からいい刺激をもらえたので、書店で表現していきたいと思います!

それでは、次回の更新までお待ちください。
ここまでお読みいただきありがとうございました。

皿書店
せき

台北滞在時の平均歩数は20,000歩を超えていました